仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29年度~平成33年度)の終了について
この計画は、厳しい経営状況にある市営バス事業を、生産年齢人口の減少や少子高齢化の急速な進展など、事業環境が一層厳しさを増す中にあっても安定的に維持していくことを目指して、市民の皆様からご意見をいただきながら策定したものですが、市バス・地下鉄両事業を一本化した「仙台交通事業経営計画」の策定に伴い統合することとし、令和2年度に1年前倒して終了となりました。
計画策定の背景
1 市営バスの現状
- 市営バスの乗車人員は、昭和55年度をピークに長らく減少傾向にあります。乗車料収入も減少基調にあり、この20年間で半分近くにまで減少しました。
- 走行キロ(回送を含む。以下同じ)も減少傾向にありますが、これまでは需要が減少しても便数等のサービス供給量は維持するよう努めてきたこともあり、乗車料収入の減少率は走行キロの減少率を上回り、走行キロあたりの乗車料収入は年々減少しています。(図1)
⇒市営バスの運行効率は長らく悪化傾向にあります。 - これまでも経営改善のための計画を6次にわたって策定し、経営の効率化とサービス向上に向け様々な取り組みを進めてきましたが、依然として厳しい状況にあり、各種数値は悪化の一途をたどっています。
⇒ここ数年の内に、資金不足比率が国から「経営健全化団体」とされる20%を超える恐れが生じています。 - 人件費抑制策の一環として正職乗務員の採用を一時期停止していた影響で、正職乗務員が高齢化しています。
(平成28年度当初の平均年齢は53.2歳であり、今後10年間で約8割が退職の見込みです。)
⇒事業の安定的継続に向けた課題の一つとなっています。
2 市営バス事業を取り巻く環境・課題
- 本市の生産年齢人口(15~64歳)は今後30年間で2割以上減少、総人口も約100万人まで減少するものと推計されています。(図2)
⇒主たる利用者となる通勤・通学者の需要は確実に縮小していくと見込まれます。 - 安全運行やバリアフリーなどに対するニーズが増大しています。
⇒サービスの質的向上への社会的要請はむしろ強まっています。 - 地下鉄東西線開業により、本市を十文字の骨格交通体系が完成しました。
⇒バスが担う役割やニーズの変化を的確に捉えた対応がますます必要となっています。 - 環境負荷の小さい、快適な都市環境の創出を目指しています。
⇒環境にやさしい公共交通サービスへの期待に応えるためにも、持続性の確保が求められています。 - 走行キロ1kmあたりの営業収益・営業費用は、他の政令指定都市公営バスと比較するといずれも最低レベルにあり、走行キロあたりの営業収支(赤字)でも大きな差があります。(図3)
⇒事業効率の向上が、市営バス事業の経営上の喫緊の課題となっています。
新計画のポイント
1 計画策定の趣旨
経営環境が更に厳しさを増すと見込まれる状況下にあっても、経営の持続性を確保していくために、次の方向性に基づき、実効性ある取り組みを進めていくことを目指します。
- (1)お客様サービスの向上
- 安全運行に加え、安心かつ快適なサービス提供により、お客様からの信頼性の向上を目指します。
- (2)安定的なサービス提供に向けた経営体質の構築
- 増客・増収や経費削減に取り組むとともに、事業の一層の効率化により、安定的で持続可能な経営体質の構築を目指します。
2 計画期間
平成29年度~33年度(5ヵ年)
3 計画の目標
- (1)平均乗車密度の向上
- 平均乗車密度(下図参照)を事業の効率性を測る指標とし、本計画に基づく改善策に取り組むことで、これを向上させることを目指します。
(図をクリックすると拡大します)
【参考】市営バス全体の平均乗車密度…9.5人(平成27年度実績)
- 市営バスで使用している車両(大型車)の平均乗車定員(75.2人)に比べると約8分の1、平均座席数(28.5人)に比べても約3分の1にとどまっています。
- 平日朝夕のラッシュ時には混雑する系統・便もありますが、市営バス全体として見ると、車内のスペースだけでなく座席にもかなり余裕のある(=事業としては効率性の悪い)系統・便が多いことがわかります。
- (2)資金不足比率の抑制及び資金収支の均衡
- 「経営健全化団体」となることのないよう、計画期間内各年度の資金不足比率を20.0%未満に抑制するとともに、計画期間以降においても安定的な経営を持続できるよう、資金収支の均衡を目指します。
4 重点方針
- (1)需要の動向を捉えた効果的な運行
- 利用状況に応じた減便等による運行の効率化を図るとともに、これまでの利用実績と合わせて、今後見込み得る新たな需要を見定めながら、効果的な運行経路等についての調査・研究を進めます。
- (2)地下鉄との連携の強化
- バスと地下鉄との乗り継ぎに配慮したダイヤの設定や、地下鉄施設も活用したバス待ち環境の向上などにより、バスと地下鉄とを組み合わせ、より便利にご利用いただけるような取り組みを進めます。
- (3)次世代の職員の育成と技術の確実な継承
- バス事業を将来に渡り安定的に維持していくためには、乗務員や運行管理要員の育成、ダイヤ編成のノウハウなどの確実な継承が不可欠であるという認識のもと、乗務員の確保に取り組むとともに、各種研修による人材育成の更なる充実を図ります。
※個別の取組項目については仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29年度~平成33年度)11ページ以降をご覧ください。
仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29年度~平成33年度)
仙台市自動車運送事業経営改善計画の概要(PDF:336KB)
仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29年度~平成33年度)(PDF:556KB)
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