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総論編【総論・収入・支払利息・減価償却費】

 先にも述べたとおり、平成26年度に約33億円の黒字を計上したものの、これまでの赤字額の合計(累積赤字)が約896億円に上るなど、依然として非常に厳しい経営状況にあります。では、なぜ赤字が生じてきたのでしょうか。


目次

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(1)赤字とはどのような状態?

 この項目では、赤字とはどのような状態のことを言うのかを説明します。

 お客様からいただく運賃収入を中心とする、1年間の「収益」から、南北線における日々の営業に必要な、1年間の「費用」を差し引いたものを「収益的収支」と言い、経営状況を判断する指標となります。

 いわゆる「赤字」とは、収益的収支がマイナスの状態にあることを指し、「収益より費用が大きい」状態にあるということです。

赤字または黒字(収益的収支)= 運賃等の収益 - 人件費や経費等の費用

※収益的収支がマイナスなら赤字、プラスなら黒字
(2)赤字の原因は?

 この項目では、南北線の収益と費用の内訳を見ながら南北線の赤字の原因について説明します。

 図表1-1は、赤字を計上した平成19年度決算の内訳を示したものです。

 この図から、地下鉄事業の本業における収益を表わす「運賃収入」は、地下鉄の運行にかかる「人件費」や「経費」の合計を上回っているものの、「支払利息」と「減価償却費」の負担が大きく、これらが赤字の大きな原因となっていたことが分かります。
 図表1-2は、黒字を計上した平成26年度決算の内訳を示したものですが、「減価償却費」の負担が大きいという状況は上記と同様ですが、「支払利息」が大きく減っていることが分かります。

南北線の平成25年度決算の内訳


a.運賃収入の推移

 この項目では、過去10年間の運賃収入の推移について説明します。

 先に示した図表1-1及び1-2からも分かるとおり、収益の中心は運賃収入であり、収益全体の7割弱から8割を占めています。図表2は過去10年間の運賃収入の推移を示したものです。この図から、震災後、運賃収入が増加傾向にあることが分かります。

運賃収入の推移


b.運賃収入以外の収入の他都市との比較

 この項目では、運賃収入以外の収入である広告料収入と補助金収入について、地下鉄事業を行う他の8都市の平均値との比較を見ていきます。

図表3:南北線と他都市地下鉄の収入比較(平成25年度、消費税抜き)

(単位:百万円)
  総収益 運賃収入 総収益に占める運賃収入の割合 補助金
収入
総収益に占める補助金収入の割合 広告料
収入
総収益に占める広告料の割合
南北線 16,507 10,909 66.1% 3,010 18.2% 496 3.0%
他8都市平均 72,631 60,324 83.1% 2,202 3.0% 1,823 2.5%
  南北線 他8都市平均
総収益 15,577 69,031
運賃収入 10,943 60,445
総収益に占める運賃収入の割合 70.3% 87.6%
補助金収入 3,625 3,091
総収益に占める補助金収入の割合 23.3% 4.5%
広告料収入 519 1,836
総収益に占める広告料の割合 3.3% 2.7%

※他8都市:札幌市、東京都、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市

 補助金収入については、総収益に占める割合が他8都市平均と比較すると高くなっていますが、これは、地下鉄事業特例債(※)の償還等に対する補助金など、国の基準に基づいた補助金が多いことによるものです。

 一方で、広告料収入は、総収益に占める割合が高い水準にあり、南北線の増収策が実を結んでいる結果と言えます。

※地下鉄事業特例債
地下鉄の建設には多額の資金を要し、その資金を賄うために多額の借り入れが必要となることから、開業後に多額の支払利息が経営を圧迫することとなります。
 地下鉄事業特例債は、建設時の借り入れに伴う多額の支払利息の負担を軽減するために認められている借入制度で、特例債の償還等に対しては、国の基準に基づき、一般会計からの補助があります。
  他の8都市と比較して総収入に占める補助金収入の割合が高いのは、南北線が他の8都市の地下鉄より後に開業していることから、他の8都市より特例債の償還等と、これに対する一般会計からの補助が、遅れてピークを迎えたことによるものです。


c.支払利息って何?

 この項目では、なぜ「支払利息」が毎年多額に発生するのかを説明していきます。

 支払利息は、主には南北線建設のため借りた借入金にかかる利息です。地下鉄の建設には多額の資金が必要になります。南北線の建設費は約2,400億円でしたが、その約8割にあたる約1,900億円を借入金で賄いました。

 南北線建設時の借入金は借り入れ期間が約30年であるため、返済が終わるまでの約30年間は利息を払い続けなければならず、借入金の額が大きいだけに毎年の利息負担が非常に大きくなり、経営を圧迫することになっています。
なお、国の補助制度が南北線建設時と現在では異なっており、東西線建設における借入金(企業債)は建設費の約3割となっているため、後年度の利子負担は南北線より軽減される見込みです。

 図表4は南北線の建設費と財源の内訳を示したものです。

南北線の建設費と財源


d.減価償却費って何?

 この項目では、「減価償却費」とはどのような費用であり、なぜ毎年多額に発生するのかを説明していきます。

 南北線の営業に欠かせないトンネル、電車、駅、信号などの資産は、長期にわたり使用可能です。そのため、こうした資産の取得に要した費用を1年の収益で賄うのではなく、使用可能な期間内に少しずつ費用がかかるものと扱います。また、一方で、資産は経年劣化などにより少しずつ価値が目減りしていきます。これら「費用を少しずつ配分し、その分価値が目減りしていく分」を減価償却費と言います。この減価償却費は実際に現金の支出を伴うものではないため、資産を取得した際の借入金の返済のための資金や資産を更新するときの資金等となります。

 減価償却費の算出方法ですが、資産の取得金額を使用可能な期間(=耐用年数)に割り振ることによって算出します。耐用年数は、地方公営企業法施行規則により、トンネルであれば60年間、電車であれば13年間などと定められています。

 「支払利息」のところでも説明したとおり、南北線には多額の建設費がかかっており、大きな資産価値が生じるため、毎年多額の減価償却費が発生することになります。

 図表5は南北線の減価償却費がどのように発生しているのかを示したものです。

南北線の減価償却費イメージ


e.赤字の構造

 赤字を計上した平成19年度の決算では、支出総額144億円のうち減価償却費が37億円、支払利息が48億円となっており、この2つで支出総額の59%を占めており、これらが赤字の原因となっていたことは、「赤字の原因は?」で述べたとおりです。黒字を計上した26年度においても、支出総額132億円のうち減価償却費53億円、支払利息14億円と2つで支出総額の51%を占め、やはり大きな負担となっていることは同様です。

 地下鉄の建設には多額の資金が必要になり、その資金を賄うために多額の借り入れが必要となります。よって、後年度に多額の支払利息が発生します。また、建設費が多額であるために、大きな資産価値が生じ、逆にそこから多額の減価償却費が発生することになります。

 以上の結果として、多額の累積赤字を抱えてしまうことになるのです。つまり、累積赤字の構造は、多額の建設費を要するという地下鉄事業の特性に由来するものであると言えます。

赤字の構造


f.支払利息の推移

 この項目では、支払利息の推移と今後どのようになっていくかを説明していきます。

 図表7は、平成4年度から平成26年度までの借入金(建設改良に要した借入金のみ)の残高と、その支払利息の推移を示したものです。

 泉中央駅まで延伸した平成4年度当時には借入金の残高は約1,771億円もあり、そこから発生する支払利息は111億円でしたが、平成26年度時点での借入金残高は303億円に圧縮され、それに伴い支払利息も7億円と、平成4年度当時と比べて1割程度までに減少しています。 

南北線建設当時の、利率が高い借り入れについては、平成19年度から平成25年度まで国の制度(補償金免除繰上償還)により低利のものに借り換えたことから、支払利息はそれ以前と比較して大幅に圧縮されています。

支払利息の推移

g.減価償却費の推移

 この項目では、減価償却費が今後どのようになっていくかを説明していきます。

  図表8は、平成4年度から平成26年度までの減価償却費の推移を示したものです。

  減価償却費については平成4年度には79億円を計上していましたが、平成17年度に38億円まで減少し、平成25年度まではほぼ横ばいで推移しています。

平成26年度については、会計基準の見直しに伴い、これまで減価償却を行っていなかった補助金等を充当した部分が、減価償却の対象になったことによって、減価償却費が増加しましたが、充当した補助金等を順次収益として計上することとなったため、実質的な減価償却費は微減となっています。なお、開業後25年以上を経過し、車両、駅施設、信号設備など、地下鉄運行のために必要不可欠な施設・設備の多くが経年劣化しており、これらの改修・更新を順次進めていく必要があることから、今後も減価償却費は一定程度の額で推移すると見込んでいます。

減価償却費の推移

(3)収支は今後どうなるの?

 図表9は南北線の収益的収支について、過去10年間における決算額を示したものです。図表7・8のとおり支払利息と減価償却費が減少したことにより、平成20年度以降、黒字計上が続いております。

収益的収支の推移

◆総論編【総論・収入・支払利息・減価償却費】  人件費・経費編  今後の取り組み編

 

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